序章

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くだらない自分の考えに嘲笑すると、俺は椅子に座って飲みかけの珈琲に口をつけた。 「やっぱり、苦いな。」 そこでふと考えた。 何故俺は、飲めない珈琲を敢えて飲んでいるんだ? ―格好よく見られたい為? 「…違うな。」 俺には彼女もいないし、女友達もいない。 それどころか、一緒に珈琲を飲んでくれる同性の友達も、いない。 俺はいつも一人だ。 小さい頃は近所の友達と遊んだりもした。 公園で友達と一緒に見た美しい夕焼けは、今も胸に強く残っている。 しかし、小・中・高と上がるにつれて友達は俺から離れていった。 「…それも違うな。」 俺が友達を突き放したんだ。
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