赤い糸

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最近まで青々としていた木々が、今では赤や黄といった色の衣をまとい、秋の散歩道を彩っている。 周りを見渡すと犬を散歩させているお年寄りや、ランニングをしている若者などが自分の横を過ぎているのに気が付く。 僕は自分の横にある柱時計を見る。 時計の針は5時50分を指していた。 しきりに辺りを見渡す。 しかしまだ君の姿が見当たらない。 近くに赤いベンチがあるが座る気にはなれず柱時計に寄り掛かる形で君を待っていた。 あれから何分経ったのだろうか。実際には2、3分ほどしか経っていないのだろうが、僕にとっては30分にも1時間にも感じられる程長く感じた。
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