嘘を吐きたい人のために

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     あいつが出て行ったドアとは逆の方向。  窓際に転がる空の鳥籠を拾う。  中に居た鳥は、もう居ない。  俺も、あいつも、大切にしていたカナリヤ。 『窓を開けっ放しにしたのを忘れて籠から出したら逃げちまった。  ゴメンなぁ。』  そういったらあの様だ。  いくら大事にしてたからとは言え、俺より鳥を優先するなんて、腹が立つ。  でもそれがあいつらしさだし、俺だってそんなこと言われたら怒るだろうから許してやる。  そんな素振り見せてやらなかったけど。    
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