その先に何があるかなんて 誰も知らない

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       俺の肩にもたれて本を読む季節は、どこか眠たそうにぼんやりとして居る。  目が文字を追うスピードも、遅過ぎるっつー程に落ちて居る。  隣りの俺がまじまじとその顔を見て居ても気付かないんだから、もう夢の世界も目前なのだろうな。      ふぁ、と欠伸をする可愛らしい動作。    目にはほんのり涙が溜まって、程よく潤む。    肩越しに伝わる温もりが、何処か心地良い。          …………やばい。    押し倒したくなった。          でも、こんな眠たそうな時に押し倒すと、こいつは絶対機嫌を損ねるかんなー……  このまま寝ちまうつもりだろうし。  怒らせると面倒臭いから怒らせたくはねえけど……      ふ、と季節がこっちを見上げた。  やっと俺の視線に気付いたみたいで、少し咎めるように睨んで来る。    それが、俺には誘っているように、或いは煽ってるようにしか見えねえ。  睨む、って言ったところで、それは俺のことを熱い視線で見詰める訳だかんな。      
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