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そんな笑顔の素敵な隼ちゃんにも色んな過去があった。
ある日、隼ちゃんにお風呂介助をしていると
隼ちゃんの体には無数の火傷の跡があった。
不自然な傷に驚いた私は
お風呂の後、職員室で担当の方に話を聞いた。
隼ちゃんは中学校を卒業するまで自宅でお母さんが介護を行ってて、お世話をされていたらしい。
この子をどう育てたら良いのか
周囲の人にせめられ、やり場の無い気持ち。
どうして、この子を五体満足で生んであげれなかったのか。
周囲の子供達の成長を見て色んな事を感じ、追い詰められたり、何とかこの子を…
お母さんは痛さで色んな事を教えようとされていたらしい
体罰は絶対にいけない
けど、このお母さんを攻めたり批判する事は出来ないなと思ってた。
私達は仕事として介護をしてるけど
ご家族は24時間向き合って心が休まる事はない
本当に大変で肉体的にも精神的にも毎日クタクタだったと思う。
時々発する隼ちゃんの言葉にお母さんの色んな感情や苦しみがうかがえた。
『何でなん』
『こんな子生んでもて』
『ごめんな。仕方がないんや』
『お前なんか生まなきゃよかった』
遠くを見つめて誰に話すわけでも無く言葉を発する
隼ちゃん
隼ちゃんはどんな気持ちでこの言葉をはっしているのか。
お母さんはどんな思いで子育てをなさってたのだろう。
時々面会に来られるお母さんは
年老いた手で隼ちゃんの火傷の跡を擦って
『ごめんな。仕方なかったんや』
『お母さんも必死やったんや』と泣いていた。
私も三児の母
お母さんの子供への思いがわかるような気がして、涙が溢れた。
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