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その、青いバランスボール君の上で揺ら揺らと体を動かしながら考えるのが好きだった私は、家に帰ってきた瞬間にスーツを着替え、その上に飛び乗った。
そして、部長からのプレゼントだと思われる、今まさに自分が大切に脱いだスーツを眺めながら考えていた。
もちろん心気くさく考えるんじゃなく、楽しくね。
そう、出だしはこんな感じ。
「チャッチャチャーン(効果音)『どうして部長は?』クイズー☆はーい、良い子の皆さん、答えの出ないクイズに挑戦しましょうね。」
屈託のない笑顔で笑って言う、私の空想の中にしか存在しない、実態のないクイズのお姉さんに、私は一人で戦いを挑む。
Q1.どうして部長は私のスーツのサイズを知ってたのでしょう。
「・・・・目方?でも、スーツって結構高いのに・・・・部長って、堅そうに見えて実は冒険家?」
Q2.どうして部長は私の服の好みを知っていたのでしょうか。
「そりゃわかるか。毎日見てれば。・・・・って、気にしなきゃわからないか、特に男性って、そういうの弱いし。」
Q3.どうして部長は私の使ってるシャンプーがわかったのでしょうか。
「匂い・・・・?まさか。部長の嗅覚は犬並みか!」
Q4.どうして部長は私が使ってる化粧品を知ってたのでしょうか。
「・・・・って、そっか。前に家に来たときに1回見られたか。・・・・それでも、そんなのでわかるのかな。普段使わない男の人が。」
Q5.どうして部長は、私にスーツをプレゼントしてくれたのでしょうか。
「・・・・・・わからない。部長の事が、わからない・・・・・・」
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