疑問

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「よろしい。プレゼントの事は、気にしなくていいんです。それは、私が勝手にした事なんですから。さすがに洗顔とボディーソープまではわかりませんでしたが、他のものは合っていたでしょう?」 「そう。それが疑問だったんです。どうしてわかったんですか?」 「簡単ですよ。私があなたのストーカーだからです。」 「え??!」 なんかその瞬間、謎が全て解けた気がした。 え、だって、ストーカーだよ?まだ初期段階のストーカーさんなら、ありえなくない事もない。スーツのサイズ知ってたもの、私の愛用してるメーカー知ってたのも、全部うなずける。 ・・・・けど、無言電話とか、無かったな。自転車パンクさせられる事もなかったし、干してるタオルも取られて無かったし・・・・ (もしかして、こいつ新手のストーカーか??!) そんな事を思っていると、私の頭の中をのぞいたのか、部長が『やれやれ』、という顔をした。 「嘘ですよ。まさか信じるとは思いませんでした。前にされた事があるとか?」 私は肯定した。 すると部長はため息をついて、 「私はわざわざそんなめんどくさい事しませんって。それにストーカーじゃなくても、シャンプーくらい、髪の匂いでわかります。特に美幸さんの場合は髪を結んでるから、解いたときに結構シャンプーの匂いってするものなんですよ。」 なんとなく、部長の言う言葉には説得力があった。説得力と言うか、一言一言がズシンと重い。この人の言う事なら信じられるって言う、アレ。 「へー・・・・って、私、いつ部長の前で髪ときましたっけ?」 やばい・・・・!危うく載せられてしまうところだった!! とにかく、私は優しい雰囲気にすっごく弱い。っていうか、雰囲気に弱い。強いものになら体当たりしていくけど、優しいものにはどう接したらいいかわからなくて。混乱する。お願いだから、いつもの嫌味部長にもどってプリーズ!!! 「『部長』?」 「啓輔さん!!!」 あわてて言い直す。 「あぁ、あの日のホテルでですよ。美幸さん、ホテルの部屋に着いたらすぐ、私の目の前でスーツ脱ぎだすんですもん。これは告白の答えかと思いきや、すぐに寝てしまうんですもん。僕のベッドで。」
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