人生初です!

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 あまりに突然の出来事に私が硬直していると、続々とディナーが運ばれてくる。 「おや、食べないんですか?おいしいと思うのですが‥‥」  なんで平然と食べられるんだろう‥‥謎だ‥‥‥  部長に進められるがまま、私はしかたなく最初に運ばれてきたスープに口をつける。 「‥‥美味しい」  思わず言葉が出た。 「トロっとしてるのに喉越しがやさしくて。味もしつこくないのに、薫りは口に残る‥‥リピーターが多いのもうなずけます」  さっきの混乱を吹き飛ばす程の美味に、私の思考はどこかに飛んでいってしまったようだ。なんか、料理以外のことは一気にどうでもよくなってしまった。  ので。 (・・・・うん、さっきのは軽い冗談だったって事にしよう)  自己完結する事にした。本当に冗談だったのか、部長もその話題には触れてこないし。  しばらく様子を見ていたが、ものの10秒も経たぬうちに部長の事なんか考えてる頭がもったいない! という思いに至った。    ってな訳で、私は極上の料理とワインで頭もお腹も満たすという至福の時を堪能したのだった。
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