47人が本棚に入れています
本棚に追加
やってきたのは、先程まで座っていた城内のとある一室。張遼に高価な装飾品で飾られた椅子に座らせ、お茶を淹れてあげた。
張遼が、私の入れたお茶を作法通りに口に入れる。
「結構なお手前で…と言いたい所ですが。苦いですね。」
「安心して、業とよ。」
少々咳き込む張遼に、私はしてやったりと笑みを零してあげた。
空気を変える為に私は気持ちを引き締め、卓を挟んで張遼の正面の席に座った。手を組み、真正面から彼の目を見てやる。
「相談があるのよ。」
「相談? もしや、袁術殿のご子息との婚姻、受けて頂く気になって頂けたのでしょうか?」
「そのお茶、今直ぐ全部飲んで。」
有り得ない事を、かも当然の様に何故言うのか? 理解に苦しむわ。私は間髪要れずに、出来の悪いお茶を飲み干すように命令してあげた。
流石に若干顔を顰めたけど、律儀に言われたとおり飲むところは、流石は張文遠といったところ。
「本題に入るわ、張遼。あんた、口は堅いわよね?」
「姫様が他言をされて欲しくないと申されるのであれば、天に誓い、呂布殿に誓い約束はお守りいたします。」
…そっか。
「それじゃあ、単調直入に言わせて貰うわ。あんた、同姓に恋した事ある?」
ぶほっ! 張遼が口に含んでいたお茶を吹き出した。私には、顔を背けたおかげで被害はなかったけど、多少でも被害があったら超絶強化で血祭りにあげている所だったわね。
まぁ、内容が内容だから、仕方が無いとは思うけれどね。
「流石は呂布殿の姫君、質問も鋭角でございますね。まるで方天画戟の切っ先の様…。」
「無様なお世辞はいいから、“はい”か“いいえ”で答えてくれる?」
私の言葉に張遼は、顎髭に指を添えて視線を逸らしてしまった。悪いけど、答えられないというのは、「はい」という返事を出せずに困っている、という風にしか受け止められないわよ。
「ちょっと待ったあぁーっ!」
最初のコメントを投稿しよう!