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私のそんな想いを他所に、貂蝉様丸々と大きく実った桃に手を伸ばす。優しく皮をむき、剥き身の果実に唇をつける。かぶりつく度に溢れ出る果実が、貂蝉様の唇を、舌を濡らしていく。それは、なぜかとても淫らな物に見えてしまって。
私は華に引かれる蝶の様に、桃の実で喉を潤す貂蝉様に顔を近づけてしまっていた果実を食べているだけだというのに、何故こんなにも綺麗に感じてしまうのだろう。
桃の実の向こうにある貂蝉様が、私を見て柔らかく微笑む。その誘惑する様な笑みに、私の理性が瞬時に吹き飛んでしまった。きっとこの人の前では、どんな聖人君子でも理性なんて物は何の役にも立たない。
自分でも惨めなほど、飢えた犬のように貂蝉様の柳腰にしがみつき、すでに食べられている桃に被りつく。
女体という同姓の身体を、隙間無く密着させて一つの実を二人で貪り合う。限界まで体温と汗が重なり合った。
口から溢れた蜜が剥き出しになった乳房に落ち、谷間に流れて行く。着物さえ蜜で濡れても、気になんてなれなかった。
やがては、果実が貂蝉様と私を遮る壁のように思えてもきて、私は必死になってそれを取り払いにかかった。
やがて辿り着く貂蝉様の舌。でも、まだ果実は小さいながらも残っていて。私達は、唇を重ね合わせながら、その果実を貪り合った。
口内に舌を滑り込ませて、唾液と溶け出す蜜が零れるのも構わず、濃厚なキスを交わす私達。舌を伸ばして唾液と蜜を絡ませながら、温かく柔らかな肉と、果実をしゃぶり合う。
それは淫らで、とても至福を感じるひと時。そう、あくまでひと時。永遠なんて、今の私達に有り得る訳が無い…。
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