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徳川の世が生まれ二百五十余年。
長きに渡る閉ざされた平穏は、外側から引き裂かれ終わりを告げようとしている。
遥か彼方から来訪した異人達は長らく閉ざされていた我等よりも遥かに進んだ技術を手に入れていた。
海の向こう、外の世界とは何と広いことだろう。
長き閉塞はこの国から海の広さを忘れさせていた。
我等の意思に反して、国は、人は変化を強いられることになった。
変化の流れは止まらない。
そして絶え間なく注がれる外の空気は、変革の風を吹き込むだけでは止まらず、徳川の世で息を潜めていた野心に火を点けた。
大きな風に煽られ、膨らみ始めたら火種はいずれ大木を燃やし尽くす炎と成りかねない。
だから、今こそ幕府には力が必要なのだ。
変革の中に、幕府の滅びを加えるわけにはいかないのだから……。
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