―― 覚醒 ――

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   今までの人生において、感じたことのない鈍い痛みを頭に感じ、薄暗い部屋の中で目を覚ました。  ここがどこで今が何時なのかも分からないが、ただベッドの上に寝ているのだけは確かなようだ。  ベッドと言っても、背中に当たる感覚は冷たくて固く、床に直接寝ているような錯覚さえ感じる。  視界には、むき出しのコンクリートの天井があるだけだ。照明器具一つ設置していない。  また、鈍い痛みが走る。  頭を殴られた外部からの痛みでは無く、二日酔いの時のような内部からの痛みに、似ているような気がする。 「何が、どうなっているんだよ……」  そう、言葉を発するつもりだった。  しかし俺の口は主の意思に反し、その音声を空気中に発したりはしなかった。 いや、それすら出来なかった。  どうなっているんだ?  そこで、頭痛以外の身体の異変に気付いた。手足が動かない上に、全身が麻痺したようになっている。  現状でまともなのは、目と耳だけな気がする。意識ですら、イマイチはっきりとしていない。  
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