―― 覚醒 ――

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   そんな状況に追い込まれ、平常心など保っていられるはずもなく、パニックを引き起こしているが身体が動かない為、頭が混乱するばかりで状況は何も変わらない。  ならば落ち着こうと、冷静さを保つべく出来る事を考えてみたが、まともに機能するのが目と耳だけでは、途方に暮れるばかりだった。 「あっ、目が覚めたみたいだね」  聞き慣れた声が、機能している耳に飛び込んできた。  そして次の瞬間、見知った顔が視界に飛び込んできた。  あどけない笑顔は、もう何度となく見詰め合い触れてきた顔だ。 「雪……」  その言葉すら、声にならない。  雪とは、今俺が付き合っている彼女だ。  俺をこんな状態にしたのは、雪なのか? しかし、雪なら可能かも知れない。いや、俺の知り合いで可能なのは雪だけかもしれない。  何故なら、雪は看護学生だからだ。  俺に医学の知識は全くないのが、雪であれば俺よりも知識があって当然である。  じゃあ、何でこんな事をするんだよ? 当然の疑問が頭の中で渦巻いてくる。  
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