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「ばいばい…って。」
直人は言う。
梨沙が見えなくなるまで梨沙を見ていた。
はは…。
ホントに行ったんだな。
厄介なやつだった。
また会える?運命?
笑わせんなよ。
そんなもので、あいつの心を繋ぎ止めた俺は卑怯者だな。
けど、こうするしかなかったんだ。
あんたは、他の女とは全く違う。
だから、きっと普通のことを言ってもダメだと思った。
好きだから行くなって言ったら、あんたの心から俺は消えるんだろ?
あんたを追いかけて愛知に行ったら、あんたは逆に嫌がるんだろ?
だから、あえて、突き放した。
あんたの言ってた通り。
恋って結局、自分のために動くんだな。
あんたが自分を好きじゃなくならないように敢えてあんたと離れたんだし。
あんたは喜んでたけど。
しかも、また会えるとか言って。
俺に運命を信じさせられるか?
けれど、いつも、予想外のことをするあんたなら、これも簡単に出来てしまうのか?
何だか俺も、あんたの言葉がホントになる気がして楽しみになってきたな。
期待して待ってるよ。
直人は梨沙がいなくなった後もこんなことを一人で考えていた。
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