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11時半を少し過ぎた頃、つぐみはリビングに向かうと高居が一人でウィスキーを飲んでいた。
「まだ起きてたんだ?」
グラスを片手に高居が話しかける。
「もうすぐ寝るところです。」
「お父様もついさっきまで居たんだけど、おやすみになって少し飲んでる所だったんだ。君も飲む?」
高居は少し言い訳するように言った。さすがに他人の家だから羽を伸ばすのはまだまずいと思っているらしい。
「飲めないの知ってるくせに…意地悪なんですね。」
つぐみが言うと高居は笑った。そしてつぐみはバーカウンターの冷蔵庫から水を取り出してグラスに注いだ。
「ごめんごめん。」
「でももっとくつろいで下さって良いですよ。」
「ありがとう、ただちょっと話があってさ。そこ座ってよ。」
つぐみは高居に言われる様にテーブルを挟んで向かいのソファーに座った。
「どうしたんですか?」
「あのさぁ、僕たち夫婦になるだろう?だからもっと良く知りたいんだ。」
多分来るであろう話題が来た。結婚を示唆するフレーズを耳にすると胸をグッと捕まれた様に苦しく、不快になった。
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