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昼を少し回った頃、玄関のベルが鳴った。
きっと志津里さんだ…つぐみはいい予感に従い玄関まで駆け出す。
しばらく走って玄関にたどり着くと軽く息が上がっていたが、少し調えてドアを開けた。志津里と堀谷が姿を現す。
「志津里さん、まり子ちゃんいらっしゃい。」
「あっどうもつぐみさん。…まり子ちゃん?」
玄関に入りながら志津里はつぐみの付けた堀谷のあだ名を不思議そうに言う。
「ええ、彼女の事をそう呼んでるの。」
「なるほどね、ちょっとびっくりしちゃいました。こないだは楽しかったですか?この娘静かで盛り上がらなかったでしょう?」
「いいえ、面白かったですよ。結構盛り上がりましたから。」
「そうなんですかぁ…何か意外だなぁ。じゃあ君はなんでそんな仕事中は静かなの?」
志津里は堀谷の方を見ながら言う。
「いや、まあでも同世代の女性がいないからですよ。だからこないだ楽しかったです。つぐみ、そういえばアレは?」
堀谷は微笑みながらつぐみに訊く、つぐみはニコッとして口を開いた。
「忘れないでちゃんと用意してるわ。志津里さん、ちょっとあたしの部屋に来てもらえます?プレゼントがあるの。」
「そうなんですか?うれしいなぁ。」
「じゃあ志津里さん。私は先に現場の部屋に行ってます。」
「そう?じゃあよろしく。」
堀谷は二人を残して立ち去る。
「志津里さん、きっとびっくりするわ。」
「なんだろうなぁ、楽しみだなぁ。」
つぐみは無邪気な笑顔を見せながら、志津里のリアクションに気持ちを高かまらせた。
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