最終章 飛べない鳥

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「そうですね、車なんか買ってもらったら戸惑いまくりだ。それなら戴きます。こんな良い物プレゼントされたって言ったら娘は羨ましがるだろうなぁ。」 「車っていえば志津里さんはどうしてあんなに年期の入ったのに乗ってるんですか?」 つぐみが疑問を投げ掛けると志津里は少し考えて答えた。 「ああ、あれは…娘が生まれた時に買ったんです。」 「うそっ、じゃあ…」 「16年乗ってます。まあ何度も修理には出してますよ。ただの古い車なら娘も嫌がるんですが、同い年だって考えたら何かうれしいって言ってましたよ。」 「そうなんだ…じゃあ逆に綺麗な方ね。」 つぐみはなんだか志津里の娘に対して、超えられない大きな壁の様な物を感じた。 「だから例え車を買ってもらえるって事があっても娘次第ですよ。まあ例え話ですけど。」 「そうね…」 「じゃあ現場に行くので失礼します。ネクタイありがとうございます。」 志津里が丁寧に挨拶して部屋のドアに手を掛けた瞬間、つぐみは思わず志津里の体に手を回して背中に寄りかかった。
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