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「つ、つぐみさん、どうしたんですか急に?」
さすがに志津里も動揺している、しかしつぐみは離さない。
「志津里さんって、この事件が解決したらもう会えなくなっちゃうの?」
「ええ、そうかもしれません。」
「だったら犯人なんか見つけなくていいわ、ずっとこのままで…」
志津里の背中でつぐみは哀願する様に呟いた。
「いやぁでも仕事だからそう言う訳にもいかないですよ。それに…」
「あたし…志津里さんの事、好きです。」
志津里の言葉を遮って放ったこの一言は、つぐみの生涯初めて、一世一代の告白だった。そして殺人を犯したあの夜よりも胸が高鳴るのをつぐみは全身で感じていた。
「ありがとうございます。刑事なんていうのは嫌われてなんぼの商売ですからそういう事言っていただけるなんていうのは…」
「そういう意味じゃなくて…本当に、男性として好きなんです。」
つぐみがそう言うと、志津里は少し黙って話し始めた。
「その気持ちは本当にありがたいです。」
「じゃあ…」
そうつぐみが言いかけると志津里はつぐみの腕をほどいて向かい合った。
「そういう訳にはいきません。」
「どうして?あたしの事嫌いなんですか?」
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