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事件以来、高居も顔を出さなくなった夕食のテーブルはつぐみ、翼の姉弟だけの静かな時間が流れていた。
「姉さん…」
翼があまり強くない声で言い、つぐみは「何?」と答える。
それらは大声でないのに部屋に一瞬響く。
「もう警察は家に入れない方が良いんじゃないか?」
「どうして?」
「あの志津里って刑事…姉さんが事件の犯人だと思ってる。」
つぐみは一瞬動揺した。しかし翼には変化はわからなかった。
「まさか…」
「嘘でも冗談でも無いよ。昼間言ってた。」
「どうせ翼が下らない事言ったんでしょ?志津里さんが合わせてくれただけよ。」
「そんなんじゃない!」
翼は思わず大声になった。
変な焦りを隠せないのだ。
「どうしたの…大声出して。」
「姉さんを守りたいんだ。俺も姉さんが殺したなんて思っちゃいない。でも志津里は、姉さんに目を付けてる…もし逮捕されたら俺はどうなるんだよ!たった一人の姉弟なんだからさ…」
翼は軽く涙ぐんだ。
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