最終章 飛べない鳥

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       26 朝7時、つぐみはいつもより早い時間ながら飛び起きた。 珍しく寝汗をかいている。起きた瞬間に内容は忘れてしまったが、悪夢を見ていたようだ。 どうしたんだろう、胸騒ぎがする…つぐみは変な緊張感に支配されていた。 鏡に向かうと、少し体力を消耗した様な表情になっているのがわかった。 笑顔を作ってみたが、どうも無理矢理な感じが否めない。 どんな夢だったんだろう…考えてみても思い出せない。だから考えない事にする。その代わりというのはおかしな感じだが、今日も志津里がまたやって来る様な気がする。しかし何故か喜べない。フラれたからなのか、それとも疑われていると聞いたからなのか… そして昨日翼が言ったからか、つぐみは母の事を思い出した。 厳しい父に比べてとても優しく、優しく包んでくれていた。両親二人でいい具合にアメとムチだったのだろうが、母はつぐみが七歳の時に病気で亡くなった。陰で慰めてくれたり、優しくしてくれた母がいなくなった事で父の独壇場と化したのだ。 今、すごく不安な気分だったが、何故かそう思えば思うほど、母が見ていてくれている気がした。
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