第一章 篭からの脱出

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       4 夕食を終えたつぐみは早々と自分の部屋へと戻ると、今晩実行する計画について順序を頭の中で繰り返し唱えていた。 英樹の寝室には実は金庫がある。そしてそれを狙った泥棒が目覚めた英樹を殺ろす…それがつぐみの構想した計画であり、自由への第一歩だった。 この屋敷の一階の端がつぐみの部屋であり、そこから七部屋隣に英樹の寝室がある。 つぐみは窓から侵入する為に英樹の寝室の鍵を開けておいた。昼間にはそういった下準備をしながら計画を押し進め、実行に移す。つぐみにとってこれ程わくわくする事も少なかった。 そしてつぐみはクローゼットを開けると、小さな箱を取り出し、ふたをそっと開ける。中に入っていたのは…ピストルだった。 ピストルを手に入れるのは普通以上に外部との接触が無いつぐみにとって困難だったが、インターネットなどから得た様々な情報を元に調べ、先日の外出時に渡部の目を盗んでバイヤーと接触出来た。つぐみはピストルを手にしたのだ。
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