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つぐみはピストルを持つと少し手が震えるのがわかった。
それはそれは大変な緊張だった。映画や小説の様に簡単に人を殺めるなんて誰しも出来ないはずだ、あたしなんかに出来るだろうか…つぐみはそんな大きな不安を抱えていた。
「自由を勝ち取る為だ…やるしかないんだ…」
そんな時にふとつぐみは呟く、まるで呪文の様に。
後は運動用のズボン、懐中電灯、犯行後にピストルを処理する為の鍵を揃えた…そして準備は整った。
「お嬢様、お風呂の準備が出来ました。」
軽くノックをした後、渡部がドア越しに言った。
「わかった、今行くわ。」
つぐみはそう答えて、ふと時計に目をやると9時を回っていた。
実行まで五時間ほどある、ゆっくり気持ちを落ち着けよう…つぐみは鏡に向かって作り笑顔をして部屋を出た。
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