序章

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 むかしむかし、イタリアのヴェネチアに、ある貴族の男がいました。  男は美しい容姿の持ち主で、淑女たちからは大変慕われました。しかし、男は淑女たちに見向きもしませんでした。それ以前に、彼は人間自体に興味がなかったのです。  彼が興味あったのは、人形だけでした。  彼は昔から人形だけに、親しみを持っていました。両親は外で愛人を作り、子供だった彼に見向きしないで、ほったらかしにしていたからでしょう。唯一、彼をほったらかしにしなかっのは、人形だけだったのです。  月日が経ってから、男は自ら人形を作るようにもなりました。
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