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油断すれば映像(ヴィジョン)はぼやけてしまうが、弥生は精神を必死に集中させて、最後まで明比呂と翔の様子を遠視していたのだ。
「俺の腰抜け振り、笑ってくれて構わないぜ」
弥生に対し、明比呂は弁明しなかった。
身の丈三メートルの《ホブゴブリン》に足が竦んでしまったのは隠しようもない事実だ。
「いいえ。明比呂は正常(まとも)よ。生まれて初めてあんな怪物を目の当たりにして、怖じ気づかない方がどうかしてるわ」
「呼ばれた気がした」
弥生の視線に気付き、翔が振り返る。
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