134人が本棚に入れています
本棚に追加
/1165ページ
「結界石は、あくまで結界を作る装置だ。装置は装置に過ぎない。私たちは結界石を信仰の対象にはしていない」
横からユニスが補足する。
「信心深い地球人は、万物に神が宿ると信じていた。その結界石そのものを信仰の対象にしていたとしても不思議ではない」
「あ、それってアルマジロだよね」
と、自信満々に弥生。
「アニミズムな」
「惜しい」
「惜しくない。歴史の授業で習ったろ。寝てたな?」
「…とにかく、結界石が結界を作っている限り、暗黒神の軍勢はルーラン村には侵入できない。安心してくれ」
翔と弥生の不毛な会話をユニスが中断させた。
「結界石は破壊不能なのか?」
「暗黒神の創造物は、触れることさえできない」
「人間は?」
その指摘を受けると、ユニスの表情が一瞬だけ険しくなったのを翔は見逃さなかった。
「光明神の創造物たる人間が、結界石を破壊するなどあり得ない」
「…なるほど」
「話しは終わりだ。三人ともついて来てくれ」
ユニスが三人を案内したのは、ルーラン村の光明神の神殿だった。
そこでは光明神に仕える神官が、傷付いたユニスの部下に治療を施していた。
最初のコメントを投稿しよう!