第4話 人と、闇と

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「明比呂には聖術が少しだけ効き、俺には全く効かなかった。それが証拠だ」  死別した父親がミドル・ワールドの人間の血を引いていようとは、明比呂には予想もつかないことだった。 「そんなことがあるのか?」 「あると思うよ。地球とミドル・ワールドは、過去から行き来があるはずだ。ミドル・ワールドには、地球に伝わる神話や民話の原型がごろごろしている。ところでユニス。明比呂の前のドラゴン・ライダーが誰だったか伝わっているのか?」 「いいえ」  ユニスは首を横に振った。 「前のドラゴン・ライダーが活躍したのは、千年も昔のことよ。その時のドラゴン・ライダーの名前は伝説にも残されていないわ」 「そんなに古いのか…。明比呂の親父さんがドラゴン・ライダーだと思ったのに、その 可能性は無くなったか。しかし、千年前だと日本は平安時代か鎌倉時代…武士が現れた時代か。中尾家って、千年続く貴族だったりする?」
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