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「知らん」
明比呂は即答した。
「だよな」
「聖術が地球人に効かないことも、アキヒロがミドル・ワールドの人間の血を引いているかも知れないことも理解した。聖術が効かないなら、せめて湯に浸かってくれ。それだけでも、疲れはとれるはずだ」
「やった、お風呂」
ユニスの後ろで弥生が喜色満面で小躍りする。
男と女に別れて風呂から上がった後、明比呂と翔は一人の神官に神殿の一室に案内された。
どうやら客間らしいその部屋の中は、予想外に明るかった。
ミドル・ワールドには、電気は使われていない。
そうであれば、照明器具は蝋燭か松明などの火に頼らざるを得ない。
しかし、この明るさは…
「石…石が発光してるのか」
部屋の四隅の棚の上に置かれた石が淡く光を放っていることに翔は気付いた。
「便利だな」
これなら二酸化炭素を排出せず、大気を汚染する心配もないだろう。
問題は、その光る石の採掘量だ。
石なのだから、地下資源に違いない。
地下資源なら有限だろうし、その地下鉱脈を巡って争いが起こるかもしれない…と、そこまで考えて、翔は頭を振った。
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