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「散歩? まだ夜中だぞ」
「夜中だからこそ行くんだよ。いいから早く食え」
「あ、ああ」
翔の真意が分からぬまま、明比呂は急いで食事を終わらせ、二人は部屋から出て神殿の外に出た。
時刻は定かではないが、真夜中のはずだ。
空には月のような大きな天体と、無数の星が輝いていた。
それが恒星なのか衛星なのか、果たして本当に星なのか、今の翔には知る術はなかった。
言えるとしたら、それらの輝きによって、夜なのに周囲が明るく見えることだった。
そこに人影が浮かび上がる。
それは明比呂と翔には見覚えのある人物だった。
槍の一突きで《オーガ》を仕留めた放浪の戦士、ラルフ・ロウ。
「奇遇ですね」
先に声をかけたのは翔だった。
「ちょっと散歩に行こうと思ってな」
ラルフの返答に明比呂は驚いた。
その理由が、翔と全く同じだったからだ。
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