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「確かに散歩するには、いい夜です」
「そっちも散歩か?」
「そうです。何なら一緒に行きますか?」
「構わん」
あっさりとラルフが頷く。
「さっぱり分からん」
明比呂には散歩が目的とは思えなかった。
思えなかったが、二人の目的が何なのか、見当もつかなかった。
ラルフが手にした懐中電灯のような筒を持って歩き出す。
それは部屋を明るくしていた石、輝光石を入れた筒だった。懐中輝光石、と言ってもいいかもしれない。
明比呂や翔にとっては明かりがなくても問題なかったが、ラルフには足下を照らさなければならない闇夜のようだ。
どうやらこれも、地球界の人間の特性らしい。
「どこに行く気だ?」
ラルフの後を付いていきながら、横を歩く翔に明比呂が問い掛ける。
「村の入り口。こっちからだと出口かな」
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