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アテナと名乗った女性の笑顔は、楽しげでありながら、どこか悲しげだった。
「アテナという戦女神は、ギリシャ神話でも一番といっていいぐらい人気があるんだ。気になって調べるのは当然だろう」
「当然なのか?」
明比呂の突っ込みを無視し、翔は様々な文献を思い出していた。
かつてメデューサは、エジプトではネイト、北アフリカのシリアではアテナと呼ばれる女神であった。
つまりアテナとは、北アフリカからギリシャに伝わった女神なのだ。
中東のリビアで信仰されていたメデューサは、蛇神であり女性の英知の象徴であったとも言われている。
脱皮をする蛇は古代より『死と再生』の意味を与えられている。
つまり蛇神とは『死と再生』をも司っていた。
また、女性の英知の象徴するというこは、アテナの母とされる知性の女神メティスの神格をも、メデューサは内包していることを意味していた。
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