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だが、時が経つにつれ、あくまで人と同じ大きさのメデューサと、くじら座と呼ばれるぐらい巨大なケートスでは、ティアマトに相応しいのはくじら座の化け物の方だという誤解が生じ、ケートスをティアマトとする現象が起きたのではないか、というのが翔の考えだった。
もう一つ、アテナの神話で翔を悩ませているのが、アテナとポセイドンの関係だった。
ポセイドンが差し向けたケートスを石にしたペルセウスに咎めがない。
このことはア、テナの意思の方が、ポセイドンのそれより優先されることを意味していないか。
ギリシャの先住民族のベラスゴイ人はギリシャ人の侵略を受けて滅亡したが、ペラスゴイ人の神話はギリシャ神話に受け継がれた。
その過程でポセイドンは海の神の地位を得たが、妻であったメデューサは怪物に貶められ、アテナという別の神格は戦女神として信仰されることになる。
ここで、翔の疑惑が深まる。
メデューサはアテナの神殿でポセイドンと情を交わしたことでアテナの怒りをかい、化け物にされたのだ。
アテナの神殿とは、すなわち、メデューサの神殿だ。
そこで夫婦であるメデューサとポセイドンが情を交わすところに、何も不自然さはない。
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