第11話 魔獣襲撃

38/38
134人が本棚に入れています
本棚に追加
/1165ページ
「ユニス、ラルフ、シラエド、ナイーダ。礼を言う。お前たちの活躍が無ければ、もっと多くの避難民に犠牲が出ただろう」  ダオレンが深々と頭を下げた。 「いえ、礼を言うのは僕たちの方です。僕はバリータ城を守れませんでした。僕にできたことは、城主である父を見捨てて避難民と一緒逃れただけです」  それは、シラエドの自戒だった。 「私も同じよ。私もイアン城が魔獣に強襲された際、城主である夫に命ぜられて、幼い我が子を連れて城を脱出したのよ。成す術なんて、無かったわ」  ナイーダが俯いて独白する。 「シラエド君、ナイーダ姉様…」  二人の心情に、ユニスは掛ける言葉が見つからなかった。 「とにかく、アムステル城に行こう。アムステル城を拠点に、バリータ城もイアン城も取り戻す」  それが、ダオレンの決意だった。  三種の神器を集めたドラゴン・ライダー。  唐突に動き始めた暗黒神。  ミドル・ワールドは千年前の光明神と暗黒神の戦い以来の、未曾有の危機に直面していた。 第十一話 完
/1165ページ

最初のコメントを投稿しよう!