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「ユニス、ラルフ、シラエド、ナイーダ。礼を言う。お前たちの活躍が無ければ、もっと多くの避難民に犠牲が出ただろう」
ダオレンが深々と頭を下げた。
「いえ、礼を言うのは僕たちの方です。僕はバリータ城を守れませんでした。僕にできたことは、城主である父を見捨てて避難民と一緒逃れただけです」
それは、シラエドの自戒だった。
「私も同じよ。私もイアン城が魔獣に強襲された際、城主である夫に命ぜられて、幼い我が子を連れて城を脱出したのよ。成す術なんて、無かったわ」
ナイーダが俯いて独白する。
「シラエド君、ナイーダ姉様…」
二人の心情に、ユニスは掛ける言葉が見つからなかった。
「とにかく、アムステル城に行こう。アムステル城を拠点に、バリータ城もイアン城も取り戻す」
それが、ダオレンの決意だった。
三種の神器を集めたドラゴン・ライダー。
唐突に動き始めた暗黒神。
ミドル・ワールドは千年前の光明神と暗黒神の戦い以来の、未曾有の危機に直面していた。
第十一話 完
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