第12話 パンドラの箱

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「誰だ?」  誰かに呼ばれたような気がして、中尾明比呂(なかお あきひろ)は周囲を見回した。  だが、霧に包まれて、周囲の景色が全く見えない。  そこはまさに、白い闇の中だった。 「…様」  また、聞こえた。 「誰だっけ?」  それは、聞き覚えのある声だった。  明比呂は、その声の持ち主を必死に思い出そうとする。 「…アキヒロ様」 「パンドーラ?」  無意識に、声が漏れていた。
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