第16話 敵包囲網を突破しろ

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 中尾明比呂(なかお あきひろ)が王都エルステーラ城で戦っていた頃、王都から徒歩で一日余りの場所にあるダバール砦は周囲を魔獣に包囲されていた。  アムステル城が落城し、ダオレン・アムステル率いる敗残兵がダバール砦に逃走し、そのまま籠城を強いられれたのだ。  当初、ダオレンたちはダーバル砦を中継点に王都へ帰還する予定だったのだが、四方を埋め尽くす魔獣の大軍によって退路を断たれ窮地に立たされていた。  確かにダオレンを始め、レジェンド・ファイターの継承者がグラウグス・エインクト、バル・グラーシェ、ナイーダ・イアン、シラエド・バリータの五人も揃っている。  しかし、五人のレジェンド・ファイターは、砦から出て野戦をする暴挙には出られなかった。  圧倒的な、数の違い。  好戦的と知られるバルでさえ、この状況では黙秘、を貫いていた。  それには、もう一つ理由があった。  結界をものともしない、四魔将の存在である。  魔獣は結界を破ることはできない。  しかし、人間である四魔将は結界の影響を受けない。  ダバール砦の中央の結界石を破壊されてしまえば、魔獣は易々と砦に侵入してしまうだろう。
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