褪せゆく色彩

*始めに*

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朝起きていつも見るものは、あいつの後ろ姿。

背広こそ着てないけど、いつもﾜｲｼｬﾂにﾈｸﾀｲ、ｼﾞﾚ、ｽﾗｯｸｽ。右腕に腕時計。
着ている物にｱｲﾛﾝがかけられているのは、あいつが気に食わないからだと思われる。

影｢兄貴ーっ｣

そう。ﾔﾂは兄貴だ。
名前は光次。
真っ黒いｼｮｰﾄﾍｱの襟足がﾜｲｼｬﾂの襟にかかっている。光が当たって青く見える程の黒髪だ。

影｢朝ﾒｼくれっ｣

振り返って兄貴が言うのは毎朝同じ。

光｢まず面洗え。つか、自分でやれよ｣

俺はへいへい、と適当に流して兄貴に言われた通り顔を洗うことにした。