*厄介者*

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ガチャ。 光「おはようございます」 俺は街の外れの小さくさびれた建物の二階のドアを開けた。 「おはよう」 パソコンから視線をこちらに向けた、男性。 彼は「片桐探偵事務所」のトップ、片桐 由季夜。 30前後の方で、スーツなのにだらしない感じを醸し出している。 多分無造作な髪型と無精髭のせいだ。 着こなしもいつも崩れているし。 由「影次はどした?」 光「多分ギリギリで来るかと」 由「そっか」 由季夜はパソコンに向き合って難しい顔をした。 「ゆーくん、難しい顔してると面白いね!」 隣の部屋から10才位の少年が歩いてくる。 幼く、無邪気な笑顔が可愛らしい。 由「うるせぇなクソガキ」 亜「クソガキだなんてゆーくん酷いよ!?せっかくコーヒーいれたのに。僕にはちゃんと富川 亜由美って名前が…」 由「亜由美!頼むから考えさせてくれ」 亜「…はぁい」 女みたいな名前だけど、れっきとした男だ。 彼は2年ほど前に由季夜に道端に一人でいるところを助けられてここにいる。 両親は事故死。天涯孤独になり、路頭に迷っていたらしい。 寒い12月のことだった。 光「亜由美くん、おはようございます」 亜「光次さん!おはよですっ」 光「今日も元気だね」 …なんて平和な会話をしていると、外からバイクの音が聞こえた。 時計は5分遅刻にあたる時刻を示している。 …おやつ抜き決定。
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