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大きな怪我は三カ所。
左肩と、右腕に二カ所、切り傷があった。由季夜さんいわく、出血具合からしてさほど深くはないらしい。が、切れ味の鈍い刃物を使ったようで、おまけに雑菌も入ったみたいで少し腫れているとのこと。
肌の白さに、痛々しい赤黒い傷が目立っていた。
由「小さな傷も多少あるが、総合的にみても大したことないだろう。ただ、傷周りに熱を帯びてるから、出来て少し時間が経ってるっぽいなあ…」
意識はあるようだが、ショックや痛みなどでひどく汗をかいている。
血は所々乾いていた。
光「亜由美くん、飲み水を持ってきて下さい。影次は俺のデスクの上の白い箱を取ってくれ」
亜「あいっ!」
影「おぅ」
由季夜さんは何故か医大を出ているので、手当ては手慣れていた。
俺はそれを昔習ったのを覚えていたが、ぎこちなく、サポートする形で手当てを手伝う。
由「…これでよし」
一応止血、消毒し、包帯を巻く。
由「もう大丈夫。大したこと無くて良かったな…しばらく安静にな」
由季夜さんが声をかけると、彼女は力なく頷いた。
亜「光次さんお水です!」
影「兄貴、これだよな?」
光「2人ともありがとう」
由季夜さんは水を受け取り、俺は箱を受け取る。
箱から出したのは、鎮痛剤と抗生物質。
光「飲めるかい?」
彼女はまた頷いて、体を起こした。
俺は彼女の体を支えて、ゆっくり薬を飲ませた。
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