*厄介者*

5/10
前へ
/56ページ
次へ
大きな怪我は三カ所。 左肩と、右腕に二カ所、切り傷があった。由季夜さんいわく、出血具合からしてさほど深くはないらしい。が、切れ味の鈍い刃物を使ったようで、おまけに雑菌も入ったみたいで少し腫れているとのこと。 肌の白さに、痛々しい赤黒い傷が目立っていた。 由「小さな傷も多少あるが、総合的にみても大したことないだろう。ただ、傷周りに熱を帯びてるから、出来て少し時間が経ってるっぽいなあ…」 意識はあるようだが、ショックや痛みなどでひどく汗をかいている。 血は所々乾いていた。 光「亜由美くん、飲み水を持ってきて下さい。影次は俺のデスクの上の白い箱を取ってくれ」 亜「あいっ!」 影「おぅ」 由季夜さんは何故か医大を出ているので、手当ては手慣れていた。 俺はそれを昔習ったのを覚えていたが、ぎこちなく、サポートする形で手当てを手伝う。 由「…これでよし」 一応止血、消毒し、包帯を巻く。 由「もう大丈夫。大したこと無くて良かったな…しばらく安静にな」 由季夜さんが声をかけると、彼女は力なく頷いた。 亜「光次さんお水です!」 影「兄貴、これだよな?」 光「2人ともありがとう」 由季夜さんは水を受け取り、俺は箱を受け取る。 箱から出したのは、鎮痛剤と抗生物質。 光「飲めるかい?」 彼女はまた頷いて、体を起こした。 俺は彼女の体を支えて、ゆっくり薬を飲ませた。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加