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「もしかして、橋本さんのお嬢さんかしら?」
「は、はい、橋本遥です。こっちは妹の翠です」
姉らしく、遥が緊張した面持ちで答える。
「おいくつ?」
「こ、今年、小学校四年生になりました。もう少しで十歳になります」
「私は三年生です」
「なら、私の孫と同じくらいね。…正司(しょうじ)いらっしゃい」
婦人が背後に声をかけると、姉妹より頭一つほど背の低い少年がやってきた。ベンチの後ろにあった池の鯉を見ていたようだ。姉妹と同じようにパーティーに招待されたのだろう、子供用のホワイトネクタイを着用している。普段から着なれているのか、子供ながらよく似合っている。
「なぁに、おばあちゃん」
「ほら、ご挨拶なさいな。お前の大好きな、お姫様みたいな可愛いお嬢さんがたよ?」
「え?お姫様?」
少年は祖母に言われて、初めて目の前に立っている姉妹に気づいたようだった。
「あ……!」
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