――前章――

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「どちらかと言うと、アイツに似てきたのはあのクソガキの方だな。……いまいち何を考えてるのか分からんところがそっくりだ」  確かに。そう思ってラヴィも笑いを漏らす。 「でも、クロアはクロアでやることはキチンとやりますし、大事な事は何かを分かっていますから」 「そう、そのクロアのクソガキの事だ」  酒瓶を持たない手でビシッとラヴィを指差す。  思わずビクッと震えてしまった。隊長の唐突の切り返しとピンポイントでクロアと強調して言われたことに。  それで、伊達に付き合いが長い隊長には悟られてしまったらしい。 「ほぅ……やはりあのクソガキと何かあったか」 「い、いえ……別に、何も、ない……です、よ?」  我ながら苦しかった。これでは肯定しているのも同然じゃないか。突然の事態に対応できるほど自分は大人ではないのかも知れない。  結局、隊長に隠しきれるわけがなく、面白そうに酒を煽りながらラヴィを見ていた。 「あの……やっぱり、分かってしまいますか……?」 「いや、むしろよくそれで隠し切れてると思ったな、と逆に聞きたいが。それに、俺に限らず隊の奴らも気付いてるほどだからな……仕事熱心なお前が仕事に集中できないほどの事と言ったら、あのクソガキ関連の事だって言うのは容易に想像がつく」 「べ、別にクロアの事を考えているとは限らないじゃないですか……」 「なんだ? 違うのか? お前がいつもそういう顔する時は大抵あのクソガキが絡んでいるのだが?」 「あぁ、うぅ……。あぅ」  ん? んん? と顎をしゃくり上げて催促してくる隊長をもはや流すことなど不可能なわけで、あの出来事を思い出すだけでも赤面ものなのに、それを人に話すとなると……。
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