――前章――

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「……その殺害された人とは……?」 「……ん? あぁ、十二部隊所属のウィレン・シルバだ。平民出で中々優秀な人物だったらしい」 「そうですか……」  ウィレンさんには悪いがほっとしたのは事実だ。  それだけでラヴィは仕事に集中できる。 「では……隊長。私が行ってまいります」 「待て、ラヴィ。まだ犯人が誰かを聞いてないだろう」 「そうでした。では、特徴をお願いします」  思えば、これが全ての始まりで、そして終わりだったのだ。 「犯人は黒髪、長身、一人の子供を連れ、王都を出ようとしているらしく門へ向かっているようです。名前は……」  一拍置いて、そして犯人の名が出てくるはずの口からはよく見知った人の名前が発せられる。 「第十二部隊所属、クロア・ランドベングです」  変わるはずだった日常が、確かに変わってしまった瞬間だった。 .
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