長子が兄弟の世話をかくのは本能に近い。私も上が欲しかった…

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藤枝家の母アリアは不思議な人だった。 アリアが手を振れば、掃除機が一人でに動き、料理が出来上がり、洗濯物が勝手に干されていく。 小さな私(千里)はそれを見ては怖いと泣いていたが、暫くして慣れると興味を持つ様になった。 それが母にしか出来ない事だと周りを見れば理解出来た。 けれど、私なら出来るなどと自惚れていた。 ある時私は母に尋ねた。 『どうやったら出来るようになる?』。 アリアは笑って私の頭を撫でながら、その内出来るようになると言ってくれた。 私は出来る様に頑張った。 それが出来ないと分かったのは数年後。 第二子由鶴が生まれた時だ。 由鶴は弱いながらも、アリアと同じく手を使わず、キャンドルに火を灯した。 父母は当然驚き、そして喜んだ。 逆に私は絶望した。 これは才能だ――。 “人間”がこんな芸当出来る訳がない。 その時私は確信した。 アリアと由鶴は――“魔女”だ。 その後生まれた千草も隆哉も同じ様に不思議な力があった。 兄弟でソレが無いのは私だけ。 私は凄く腐った。 しかしそれも短い間。 理由は余裕が無くなったから。 両親が事故死したからだ。 .
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