援助交際

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 中学入学と同時に母が家を出た。妹も一緒に。養子の父は物心ついた頃には家にいなかったので祖父母とただっ広い田舎の家で三人暮らし。それは一人ぼっちの淋しさを埋める日々との闘いの始まりだった。 母親へのSOSは登校拒否、好きだった勉強の放棄から。そんな事をしても事態は何も変わる事なく淋しさは募るばかりだった。  ティーン向けのエッチな雑誌に載っていたツーショットダイヤルに目をつけ友達とかけて遊んだ。女性はフリーダイヤルだからどんなに電話してもかまわなかった。溜まり場だった部屋からの外線ランプは日に日に点る時間が増えていった。  中学を卒業すると友達としていたツーショットに1人でかけるようになっていた。とにかく1人で過ごす夜の淋しさを紛らわせたかった。そして誰かに甘えたかった。  高校入学前の春休みにツーショットで知り合った男性と待ち合わせをして車に乗った。覚悟はしていたけれど、思った通りラブホに連れられ無理矢理押し倒された。 「やだ!やだ!やめて!」 抵抗する叫び声に益々男は興奮している様だった。 「痛い!やめて!」 叫び続けた。そして男は射精した。終わった事にほっとした。深紅の血が滲んだシーツを見て自分の体なんてもうどうでもよくなった。でも、どうでもいい男とSEXするくらいなら流行りの援助交際をした方がいいと思った。好きでもない男に股を開くのだからお金をもらう。そう決めた。  お金なんて二の次だった。ただ、ブサイクな自分を可愛いと言ってもらえるのが嬉しかった。そして寂しい独りぼっちの夜を埋める事ができた。自分がどんどん汚れていくのが面白かった。地の果てまで落ちたい気持ちと、母親に気付いて止めてほしいという複雑な心境が絡み合っていた。体で稼いだ汚いお金はあえて残さないように友達とカラオケや旅行などに行って使った。必要な物は汗水流して得たバイトのお金で買った。  友達には自ら援交をしている事を話した。そんな汚れた私にみんな普通に接してくれた。誰一人それが悪い事、自分をどんなに傷つけるかなんて教えてくれる友達はいなかった。毎回違う援交相手とのやり取りを興味本意で聞いてくれていた。
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