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金髪にばっちりメイクをした綺麗な女性。アルバイト先で知り合った華南は最初20歳前後だと思っていたが、年下の16歳だった。最初はその風貌から自分とは合わないだろうと思っていたのに、いつの間にか親友になった。バイトが終わるとお店の近所だった華南の部屋に行くのが日課になり、中退してからは夜な夜な遊んだ。
華南の見た目と裏腹な繊細な所、勝ち気な所、可愛さ、喋り方、全てが大好きだった。そして根性焼きだらけの腕をみた時、少しでも一緒にいなきゃと使命感にかられた。華南の父親はいなかったし、母親はスナックのママだった。そして華南が15で産んだ子供は乳児園に預けられていた。その環境が言わずとも華南の心の闇を表していた。
華南とツーショットにかけて三人でラブホに行った事もあった。相手のおじさんは華南が売りをすると思っていた。
「大人しそうなのにね」
「どっちでもいいけどね」
華南みたいに綺麗じゃなくてごめんね…優しそうなおじさんに悪い気がした。
ラブホに入ると華南の前でSEXをするという現実が嫌になった。華南はそんな私の気持ちを言わずとも察してくれていた。
とりあえず我慢しておじさんと一緒にお風呂に入った。シャワーを浴びていると脱衣所に華南の影が見えた。華南は
「愛離ベルが鳴ってるよ!」
と切迫した声で呼んだ。
「え?何だろう!」
そう言いながら先に浴室から出た。
「愛離逃げるよ!」
直ぐに服を着て、小声でフロントに
「先に一人出ます」
と電話して鍵を開けてもらう。おじさんがお風呂から出て来ないかドキドキした。直ぐに鍵が解除され、二人で逃げ出した。必死で走った後笑いあった。
「怖かったねー!」
「華南よく機転がきいたね!」
「うん、おやじの財布から金盗もうとしたけど無理だった」
あっけらかんとそう言う華南をたくましく感じた。華南と色んな遊びをしたけど一番スリルがある出来事だった。
華南行きつけのカラオケにもよく行った。華南はお姉ちゃんの影響でプリプリの歌をよく歌った。高校の友達にも歌の上手い子はいたけど、華南の歌声は特別だった。安定していて、聴かせる歌い方だった。顔も可愛いし、本気で歌手目指せばいいのにと思っていた。華南の歌声のファンだった。
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