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ガンガンと鳴り響く頭から来る音に彼女はようやく目を覚ました。
先ほどの出来事から幾分時が過ぎたのだろう、路地裏は不気味なくらいに静まり返っていた。
体を起こし周りを確認するが、彼女は一体自分の身になにが起こったのか理解できないでいた。
「あれ…?私なんで…痛ッッ!」
気付くと自分の右腕には何かに切り裂かれたようなひっかき傷が3本、痛々しく残っていた。
身に覚えがない事柄に、もしや自分は強盗にあったのではないか?と考え肩にかけていた使い慣れたショルダーバッグを確認すると中にはキチンといつも通りに茶色い革製の財布が収まっていた。
ズキズキと続く頭痛に、きっと飲みすぎて酔っ払ってしまいフラフラと路地裏に迷い込み何かの弾みで怪我をしてしまいそのまま眠ってしまったのではないか?
「私、寝ちゃってたのかな…?」
なんだか、とても重要な事を忘れているような気がしたがそれ以上考える事をやめた。
とりあえずは一刻も早くこんな不衛生な所から立ち去ろうと彼女は腰を上げた。
「いたっ!」
立ち上がった際に何故か靴ずれができていた。
パンストも所々点線している。
「はー…お酒飲むの控えようかな…」
ため息を一つ吐くとそのまま彼女は帰路へと忙いだ。
こうして宮前春子はいつもと変わらない日常へと戻っていった。
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