大和乗艦

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私は、中でも高原一等兵曹を敬愛し毎日のように柔道の稽古をさせてもらった。 高原一等兵曹は「なかなか見込みがあるな。毎日俺の稽古についてこられると、俺のように無敵になれるからな。」と言ってくれた。 私は、「はい。ありがとうございました。」私は、心を込めてお礼を言った。 月日は巡り、ある夏の日、私の所属する機銃座では、機銃の最後の点検をするのだが、私は最後の点検をせずに寝てしまった。高原一等兵曹、与野水兵長と私は横並びになり、山崎少尉は海軍精神注入棒を片手に、1人1人に尋問をしていた。 私の番。私はとっさ土下座し、「最後の点検をしなかったのは私です。」と言った。 山崎少尉は鬼のような形相をし、「貴様かぁ~この野郎!貴様の不注意で『大和』の名に傷がついたんだ!恥を知れ!この野郎!」 私は額を床につけて、必死に「申し訳ありませんでした」と10回くらい謝った。 しかし許してもらえるわけもなく、「いくら謝ったって同じだ!貴様には海軍精神が入っておらん!俺が海軍精神をたたき込んでやる!」 山崎少尉は海軍精神注入棒を両手に持ち「ケツを出せ!両手を上げろ!歯を食い縛れ!」 そう言うと、山崎少尉は力を込めて私のお尻を海軍精神注入棒で殴った。2、3回殴ったところで私は、膝に手を置いて、4発目を食らったらふっとんでしまった。 山崎少尉はそれを見るなり「ここで反省してろ!」と言った。 4発という数では短いが、私にとって4発は死ぬほど長く感じられた。
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