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「え……ない、あんたホントに男? これどう見ても女の子の……あは、あはは……あんた初めから女の子だったんでしょ、もー」
初めはア然としていた宮田香織は台詞からもわかるように途中から開き直っている。
取り乱してなのか何度も俺の体をバシバシ叩いている。
正直痛い。
「おい、おーい、止めろ! そして落ち着け。今は現実逃避してる場合じゃない……なにか打開策を考えるべきだ」
「あははーこんなところにアワビが、えい! あははははぁ、マツタケはないのかなぁー? 香りマツタケ、味シメジーあはははぁ」
宮田香織は俺のマイッッサァン!だった今はただの穴をチョンチョン突いてパニクを起こしている。
俺はそんな彼女を揺すって現実に引き戻そうと思う。
「そこにあるのはマツタケではないんだ! 目を覚ませ今はアワビだと認めざるをおえない!」
そして、返ってきた返事がこれだ。
「うるさいぞ! 愚弄が! 私に触れるでない!」
という罵り言葉と強烈な頭突きだ。
そして、その頭突きが痛いの何のって、目の前に一瞬星が散っていた。
「いつつ……突然何すんだよ!」
「あんたが急に抱き着いてくるからでしょ! 男が私の体に気安く触れるな!」
「……オトコ?」
「なによ!」
「宮田さん今、俺のこと男って言ったよね?」
「そうよ、だから気安く――」
「やったぁーー! 俺は男だぁーー! こんなんなっても男なんだ! よかったぁ、一時期は女として生きていかないのかとか考えてしまった自分が賎しいよ! ありがとう宮田さん」
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