間章一、『異なる世界で。』

3/8
前へ
/69ページ
次へ
 アクルは背後を見る。      背後……というより、周囲は木々生い茂る森の中だ。      アクルのいる場所はぽっかりと草木がなく、ニ十五メートルのプールくらいの広さで、草木無くぽっかりと荒れ地の様になっている。     「な、なに? なんなんですか?」      アクルは怯えた表情で呟く。      ガサガサ、ガサガサとなにかが近付いて来るのが解る。      激しい雨が叩き付ける中、その声は聞こえた。     「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」      不意に、茂みの奥から人の声が聞こえた事に、アクルは少し安堵の息を感じる。     「す、すいません! えっと、えっと……。」      声に向かい、返事をするアクル。     「……あぁ、やめとけよあんた。」      頭に再び、直接声が聞こえる。     「えっ!? な、なんで、ですか……?」      アクルが頭に響く声に不安気に尋ねる。     「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」      再び、森の中から声が聞こえた。
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加