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「おい喋んなあんた……つか、多分手後れかね?」
頭の声が、不安感を煽る様な事を言い出す。
「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」
再び、森の中から声が聞こえてアクルの顔が恐怖の色に染まる。
なにか、なにかおかしい……人間が近付いて来る感じでは無いのだ。 なにか、もっと大きい物が近付いて来る様な……。
「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」
それがその姿を表す。
人間では無い。 狼……ハイエナの様な顔に、獅子のたてがみ。
「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」
アクルを見下ろしながら、人間の言葉をその巨大な化け物は発した。
アクルはガチガチと歯を鳴らしながら、怯えた瞳で見上げる。
「ほれみろ、コロコッタだった。」
ほれみろ、等と言われてもアクルにはそんな知識は無い。
「こ、ころ……?」
「コロコッタ。
人や、その他の鳴き声が得意な猛獣だよ、滅多に姿を現さねーんだけどな。」
「気を付けろよあんた、食われるぜ?」
アクルの表情から僅かな希望に似たなにかも消えた。
「く、食われ……?」
「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」
コロコッタが口を大きく開き、アクルに襲いかかった。
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