間章一、『異なる世界で。』

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「おい喋んなあんた……つか、多分手後れかね?」      頭の声が、不安感を煽る様な事を言い出す。     「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」      再び、森の中から声が聞こえてアクルの顔が恐怖の色に染まる。      なにか、なにかおかしい……人間が近付いて来る感じでは無いのだ。 なにか、もっと大きい物が近付いて来る様な……。     「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」      それがその姿を表す。      人間では無い。 狼……ハイエナの様な顔に、獅子のたてがみ。     「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」      アクルを見下ろしながら、人間の言葉をその巨大な化け物は発した。      アクルはガチガチと歯を鳴らしながら、怯えた瞳で見上げる。     「ほれみろ、コロコッタだった。」      ほれみろ、等と言われてもアクルにはそんな知識は無い。     「こ、ころ……?」     「コロコッタ。  人や、その他の鳴き声が得意な猛獣だよ、滅多に姿を現さねーんだけどな。」   「気を付けろよあんた、食われるぜ?」      アクルの表情から僅かな希望に似たなにかも消えた。     「く、食われ……?」     「おぉ~い! 誰かいるのかぁ!?」      コロコッタが口を大きく開き、アクルに襲いかかった。
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