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「……」
目を開き、アクルは今日も今日が来た事を悟る。
時計の針が六時を回っているのを見て、重たい体を持ち上げ立ち上がった。
嫌に、薄汚れたパジャマのまま、黒く長い髪を枯れ木の様に細い腕でみつあみにし、エプロンを纏ってキッチンに向う、朝食の準備を行ためだ。
「…………。」
生気の無い空虚の瞳で淡々と玉子を焼き、ベーコン等を入れる。
味噌汁の味を見て、暗い瞳のままその口許に僅かな笑みを浮かべた。
「……――ッ」
振り返り、アクルは僅かにビクリと肩を揺らす。
「お母……さん。」
アクルは、キッチンの入り口の方に立ち、冷ややかな目をこちらに向けて放っている女性を見て、呟く。
「あ……の、朝食、出来ました。」
アクルはそう言って、無理矢理な作り笑いを浮かべた。
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