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風を目一杯感じれるように、アクルは両手を広げ歩く。歩く。歩く……。
柵をゆっくりと超えて、アクルは空を仰ぎ。 目を細めた。
世界は、きっと綺麗なんだろうとアクルは思う。
清々しい表情のまま、アクルは飛び下りる。
その顔は、とても今から死のうとする人間とは思えぬ程、晴れやかだ。
これでいいのだと、アクルは思う。
母親からは、自分は忌み嫌われて当然だ。 虐待されていた事を恨んではいない。 むしろ、この歳までなんだかんだで育ててくれた事に感謝している。
いじめていた生徒は、見てみぬふりをしていた生徒や教師達も、別に怨んではいない。
自分の様な存在がいたら、そんな感じにもなるだろう。
「風……気持ちいい………。」
目を閉じうっすらと笑みさえ浮かべて、アクルは呟いた……。
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